自宅や近隣がごみ屋敷状態になり、京都市の条例でどのような対応をされるのか気になる人は多いでしょう。実際に京都市では、いわゆる「ごみ屋敷」に関する独自の条例を平成26年11月に制定し、指導や勧告、命令、行政代執行という段階的な対応をおこなっています。
通報や調査の連絡を受けた場合は、市の指導に早めに対応し、必要であれば福祉的な支援につなげてもらうと良いでしょう。
本記事では、京都市のごみ屋敷条例の内容や行政対応の流れや実際の解消実績を解説したうえで、片付けの具体的な方法を紹介します。京都市がごみ屋敷に対してどのように対応してくれるのかわかるようになるので、ぜひご一読ください。
目次
京都市のごみ屋敷条例の概要

京都市が定めるごみ屋敷条例には、制定の背景や対象となる基準、支援の仕組みなど押さえておきたいポイントがあります。ここでは、以下3つの観点から詳しく解説します。
- 条例が制定された背景と目的
- 条例が適用される不良な生活環境の定義
- 必要に応じて福祉などの施策につないでくれる
ひとつずつ見ていきましょう。
条例が制定された背景と目的
ごみ屋敷は既存の法律だけでは取り締まりが難しく、多くの自治体が独自の条例を定めて対応しています。京都市も同様の課題を抱えており、平成26年11月に支援と措置の両面から早急な解決を図れる「京都市不良な生活環境を解消するための支援及び措置に関する条例」を制定しました。
条例制定の背景には、物の堆積や放置は衛生面や防災面、防犯面で近隣住民の生活環境に大きな影響を及ぼすといった課題があります。例えば、通路をふさぐほどの物の堆積は避難の妨げとなり、火災が発生した際には延焼する危険性につながりかねません。
条例が適用される不良な生活環境の定義
京都市のごみ屋敷条例が対象とする不良な生活環境は、「物の堆積や放置、多数の動物の飼育などにより、衛生上および防災・防犯上の支障が生じる程度の状態」と定義されています。
どのような状態が該当するのか、京都市が公表している具体例を見ていきましょう。
- 道路にはみ出す物品の堆積による通行の妨げ
- 玄関先の紙類放置による火災の危険性の上昇など
該当の有無は、職員による状況調査のあと、区役所や支所と関係部署・関係機関による対策会議で判断されます。重要な基準は、物量の多さだけでなく、近隣住民の安全や健康に影響を及ぼす程度まで達しているかどうかも含まれます。
必要に応じて福祉などの施策につないでくれる
条例の定める「不良な生活環境」に、ご自身が住んでいる居宅が該当すると判定された場合、改善に向けた対応が求められます。一方で、京都市の条例は基本方針として片付けを求めるだけでなく、住人が抱える生活上の課題に向き合う支援を掲げています。
例えば、病気や経済的困窮、医療や介護の必要性などの課題を抱えているケースでは、福祉などの施策につながる支援が欠かせません。主な例を、以下に挙げてみました。
- 病気による生活の維持困難
- 経済的困窮の状態
- 医療や介護の必要性など
こうした支援は区役所や福祉事務所、保健センターなどが連携して進めるものであり、片付けだけでは解決しない社会的孤立の解消も目指します。ただし、解消に際してかかる費用は、原則として本人負担となる点は押さえておきましょう。
京都市ごみ屋敷条例の主な内容

京都市のごみ屋敷条例には、主に3つの措置が定められており、段階を踏んで対応が強まっていきます。
- 指導・勧告
- 命令・公表
- 行政代執行
それぞれの内容を順番に見ていきましょう。
指導・勧告
京都市のごみ屋敷条例第11条では「不良な生活環境を解消するために必要な指導を市長がおこなえる」と定められています。指導をおこなっても状態が改善しない場合には、市長の権限で必要な措置を求める「勧告」に進む仕組みといえるでしょう。
具体的には、指導の段階で片付けが進まなかった案件について、市の職員が繰り返し訪問し、状況を確認したうえで勧告の要否を判断します。勧告をおこなう際には、住人に対して適切な説明をおこない、理解を得るよう努める旨が条例に明記されています。
一方的に措置を進めるのではなく、対話を重ねながら解決を目指す姿勢を大切にしているといえるでしょう。
命令・公表
勧告に従わない対象者に対しては、条例第12条に基づき、相当の期限を定めて必要な措置を求める「命令」が発せられます。命令を受けても改善の見込みがない場合、京都市は複数の情報を公表できると条例で認められています。
公表される主な情報は、以下のとおりです。
- 対象者の氏名
- ごみ屋敷状態の建物の住所
- 不良な生活環境の内容
- 命令の内容
- 市長が必要と認めるその他の事項
公表とあわせて、氏名や住所を除いた内容を記載した標識を、対象となる建物の敷地に設置することも可能です。あらゆる情報が公にされる可能性がある措置のため、命令の段階で対応する必要性は高いと考えてください。
行政代執行
命令や公表を経てもなお状態が改善しない場合、最終手段として「行政代執行」がおこなわれます。行政代執行とは、本人に代わって市が強制的にごみの撤去などをおこなう措置です。
現に京都市では、平成27年11月13日、私道への大量の物品堆積が続いていた案件に対し行政代執行が実施されました。撤去にかかった費用は原則として対象者に請求されるため、自身で片付けるよりも高額な負担となるでしょう。
ただし、京都市では代執行に至るまで100回を超える訪問と支援を重ねています。このことからも、いきなり強制執行に踏み切ることはないことがわかります。
京都市におけるごみ屋敷の行政対応の流れ

京都市がごみ屋敷に対応する際の流れは、把握から行政代執行まで以下の5段階です。
- 把握と状況調査
- 対策会議の開催と判定
- 「人」に寄り添った支援
- 行政処分の検討・実施
- 行政代執行
ひとつずつ解説します。
1.把握と状況調査
市民からの相談や通報、あるいは福祉事務所や保健センター、消防署職員による訪問活動をきっかけに、京都市はごみ屋敷の事案を把握しています。把握後は市の職員が直接現地に赴き、必要に応じて立ち入り調査を含む状況調査を実施し、平成26年11月の条例施行以降、令和7年3月末までに累計483件の相談すべてに訪問調査がおこなわれています。
通報を受けたからといって、すぐに強制的な対応が始まるわけではありません。まずは実態把握から進められます。
2.対策会議の開催と判定
状況調査を終えると、区役所や支所において関係部署や関係機関が加わる「対策会議」が開催されます。条例が対象とする「不良な生活環境」に該当するかどうかを判定する観点は、以下の3つです。
- 衛生上
- 防災上
- 防犯上
判定にあたっては、通行の妨げや火災のリスクなど近隣住民への影響の程度が確認されます。そのうえで、該当する場合には改善・解消に向けた対応方針が策定され、計画的かつ継続的な取組みがスタートします。
一方で樹木の繁茂など、条例が対象とする状態にまでは至らないと判定されるケースも少なくありません。
3.「人」に寄り添った支援(基本対応)
「不良な生活環境」と判定された後、京都市はまず本人が抱える生活上の課題に向き合う支援を基本対応として進めます。病気や経済的困窮、社会的孤立といった課題に応じて医療や介護などの必要な福祉施策につなぐ取組みを計画的かつ継続的におこなう仕組みです。
具体的には、区役所や保健センターの職員が繰り返し訪問し、健康相談や福祉制度の案内を通じて信頼関係の構築を図ります。そのうえで、本人による自主的な清掃や、市の協力を得た清掃作業へとつなげていきます。
片付けを強制するのではなく、本人の意思を尊重しながら解決を目指す姿勢を、京都市の条例では重視しているといえるでしょう。
4.行政処分(措置)の検討・実施
長期間の支援や働きかけを重ねても本人が拒否するなどして改善に至らない場合、京都市は本人の同意に基づかない「行政処分」を段階的に実施します。行政処分の段階は、以下の4つです。
- 状態解消に必要な指導
- 説明と理解を経た措置の勧告
- 期限を定めた措置の命令
- 氏名や住所を含む公表と標識の設置
各段階では住人への説明や理解を得る努力が条例上求められており、いきなり強い措置に進むわけではありません。実際に京都市が行政代執行を実施した案件でも、指導から代執行まで4ヵ月にわたり複数回の働きかけがおこなわれました。
行政処分の実施は、支援を尽くしたうえでの最終的な選択肢として位置づけられていると、押さえておきましょう。
5.行政代執行(最終措置)
命令や公表を経てもなお状態の改善が見込めない場合、最終手段として行政代執行法に基づく「行政代執行」が実施されます。実施にあたっては、期限を定めてあらためて警告する「戒告」と実行日時を通知する「代執行令」を経たうえで、市が本人に代わって強制的にごみの撤去などをおこないます。
この事例では、戒告の翌日に代執行令が出され、さらにその翌日に撤去作業が実施されています。
撤去にかかった費用は原則として本人に請求されるため、放置し続けるほど負担が大きくなると考えてください。最終手段とはいえ、事前の段階で対応すれば行政代執行を避けられる可能性は十分にあるでしょう。
京都市が制定したごみ屋敷条例の実績

京都市では平成27年11月13日、私有地でのごみ屋敷対策として全国初となる行政代執行がおこなわれました。条例施行から蓄積された実績と、代執行に至るまでの経緯を解説します。
実績
条例が施行された平成26年11月から令和7年3月末までの間に、京都市には累計483件の相談が寄せられました。このうち、対策会議で「不良な生活環境」に該当すると判定されたのは332件です。判定された案件のうち、約97%にあたる323件が清掃などの具体的な支援につながり、うち302件で不良な生活環境が解消されました。残りの案件についても、支援や働きかけを継続しながら解消を目指す取組みが進められています。
数字からもわかるとおり、市に寄せられた相談の大部分は、初期施策の段階で解消しています。
行政代執行に至るまでの経緯
京都市で初めて行政代執行がおこなわれた案件は、平成27年7月1日の文書による指導から始まりました。指導後も状態が改善しなかったため、勧告や命令、戒告といった段階を経て、約4ヵ月後の同年11月13日に行政代執行が実施されています。
当日は新聞や雑誌など7.5立方メートル分、45リットルのごみ袋で約167袋相当の堆積物を京都市職員が直接撤去しました。対象者も職員に労いの言葉をかけるなど、協力的な姿勢を見せています。代執行後は元の場所に物が堆積することはなく、撤去後の状況が保たれていると報告されています。
行政代執行に至るまでの経過を、以下の表に実施日ごとに整理しました。
| 実施年月日 | 内容 | 対象者の対応 |
|---|---|---|
| 平成27年7月1日 | 文書による指導(7月14日期限) | 履行なし |
| 平成27年7月21日 | 勧告(8月3日期限) | 履行なし |
| 平成27年8月7日 | 弁明の機会の付与の通知(8月20日期限) | 提出なし |
| 平成27年9月14日 | 有識者の意見聴取 | – |
| 平成27年10月9日 | 命令(10月22日期限) | 履行なし |
| 平成27年10月26日 | 戒告(11月8日期限) | 履行なし |
| 平成27年11月9日 | 有識者の意見聴取 | – |
| 平成27年11月12日 | 代執行令 | – |
| 平成27年11月13日 | 行政代執行 | – |
指導から代執行までの期間はおよそ4ヵ月半にわたり、複数回の手続きを経ていることがわかります。
京都市のごみ屋敷条例に関して通報された場合にすべきこと

京都市のごみ屋敷条例で通報を受けた場合、対応次第でその後の展開が大きく変わります。万一に通報された場合、以下の2点は押さえておきましょう。
- 市の調査・指導に対応する
- 行政代執行は避けること
ひとつずつ解説します。
市の調査・指導に対応する
市へ通報された場合、まずは文書もしくは訪問による指導が入ります。この段階で対応を拒み続けると、その後の勧告や命令など、より強い措置の対象になる可能性が高まるかもしれません。
例えば、片付けが進まない背景に病気や経済的な事情がある場合には、福祉的な支援につないでもらえるケースもあります。片付けられない理由がある場合は、職員に事情を伝えることで解決に近づく可能性が高くなるでしょう。
指導を無視せず、早い段階で誠実に対応する姿勢が状況の改善につながります。
行政代執行は避けること
行政代執行によりかかった撤去費用は全額自己負担となり、業者に依頼して自力で片付ける場合よりも高額になるケースがあります。加えて、物品の取捨選択を自分でおこなえなくなるため、本来残しておきたかった物まで処分される事態も想定しなければなりません。
行政代執行の手前の段階である公表がおこなわれると、氏名や住所が公にされ、自宅の敷地に標識を立てられることもあります。こうした事態を避けるためにも、指導や勧告の段階で早めに片付けへ着手するようにしましょう。
京都市でごみ屋敷を片付ける3つの方法

京都市でごみ屋敷を作ってしまった場合、行政代執行になる前に片付けたいところです。一方で、どのように片付ければよいのか分からず途方に暮れる人もいるでしょう。
ごみ屋敷を片付ける方法は、状況に応じて主に3つの選択肢があります。
- 自力で片付ける
- 家族や知人に協力してもらう
- ごみ屋敷専門の清掃業者に依頼する
いち早く片付けるための参考としてください。
1.自力で片付ける
片付けにかかる費用を抑えたい場合は、まず自力での片付けを試みましょう。ごみ屋敷の片付けは労力がかかる作業のため、業者に依頼すると費用が高額になる傾向があります。
とはいえ、堆積した物の量が多いほど、すべてを自分だけで片付けるのは困難です。明らかにごみとわかる物だけでも自分で分別および処分しておくと、業者に依頼する際の費用を抑えられます。
無理のない範囲で自力による片付けを進め、難しい部分は後述する他の方法との組み合わせを検討しましょう。
2.家族や知人に協力してもらう
自分だけでの片付けが難しい場合は、家族や知人に協力してもらえないか相談してみてください。人手が増えることで、ひとりで片付ける場合よりも短期間での解決を図れる可能性が高まります。
複数人いれば、高い場所にある荷物の運び出しや重量物の移動など、危険がともなう作業も安全に取り組めます。家族や知人に協力を仰ぐ際は、作業中のトラブルを防ぐために、事前に処分する物の基準をすり合わせておくと良いでしょう。
3.ごみ屋敷専門の清掃業者に依頼する
自力での解決が困難な場合は、ごみ屋敷専門の清掃業者に依頼するのもひとつの方法です。清掃業者はごみの搬出から処分まで一連の作業を請け負うため、依頼する側の手間を最小限に抑えられます。
自力で取り組むと1ヵ月以上かかる片付け作業でも、業者に依頼すれば最短即日で完了するケースも珍しくありません。費用は一軒家の場合で数十万円に及ぶこともあるため、可能な範囲で自分でも片付けを進めてから依頼すると良いでしょう。ごみを分別し自分で処分するだけでも、数万円単位の費用を節約できる可能性があります。
費用と手間のバランスを踏まえたうえで、業者への依頼を検討してみましょう。
京都市のごみ屋敷条例についてまとめ

京都市のごみ屋敷条例は、住人に寄り添った支援を基本としながら、改善が見られない場合には指導や勧告、命令、行政代執行へと段階的に進みます。
条例施行から令和7年3月末までに483件の相談が寄せられ、判定された332件のうち9割超が具体的な支援につながっています。最終手段である行政代執行に至るのはごく一部であり、多くの案件は福祉的な支援や地域との連携によって解消に向かっているといえるでしょう。
通報や調査の連絡を受けた場合は、指導の段階で誠実に対応し、必要な支援へつなげてもらうことが解決に役立ちます。自力での対応が難しいときは、家族や知人の協力、専門業者への依頼も含めて検討し、早めの解決を目指しましょう。
京都市でごみ屋敷の片付けにお悩みの方は、山本清掃までご相談ください。当社はごみ屋敷の片付けにも対応している不用品回収業者です。
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