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遺品整理

相続放棄したら遺品整理はどうする?トラブルを避ける注意点について詳しく解説

相続放棄したら遺品整理はどうする?トラブルを避ける注意点について詳しく解説

親や親族が亡くなった際、遺産相続について悩む人は少なくありません。遺産相続は故人の財産や権利、義務を引き継ぐ重要な法的手続きです。とくに被相続人が借金を抱えていた場合、将来の生活への影響を考慮し、経済的な負担や責任を避けるために多くの人が相続放棄を検討するでしょう。

ただし、相続放棄は一度おこなうと取り消せません。遺品整理ができなくなることや、故人との思い出の品を受け継ぐ機会を失うなど、さまざまなデメリットがあります。

本記事では相続放棄の内容や注意点、遺品整理との関連性について、法律の知識が少ない人にもわかりやすく解説します。

遺品整理が必要な場合は、相続放棄した際の法的制限や注意点に気を付けながら、適切な手順で進めていきましょう。

遺品整理・相続放棄の概要

遺品整理・相続放棄の概要

遺品整理と相続放棄は関連性があります。相続放棄をしても遺品整理に関わる必要が出てくる場合があるため、注意が必要です。

遺品整理とは

遺品整理とは、亡くなった人の家に残された思い出の品や家具などを丁寧に整理し、適切に処分や保管をおこなう大切な作業のことです。

遺品の取扱いや分配方法については、基本的に遺言書に沿って慎重に遺品整理を進めることになります。遺言書がない場合は、法律で定められている法定相続分に則って分配をおこないます。

遺品を分類して必要な物は遺族や相続人が相続し、不要な物は処分しましょう。

故人との思い出が詰まった手紙や写真アルバム、日記など、とくに思い入れの強い品には供養の意味を込めて、寺院でのお炊き上げにより処分する方法もあります。お炊き上げの儀式を通じて故人への感謝の気持ちとともに品物や思いを届けられ、遺族の心の整理にもつながる精神的な浄化の機会となるでしょう。

相続放棄とは

相続放棄とは、亡くなった家族や親族の遺産を引き継ぐことを放棄する法的手続きのことです。

一般的に故人の車や不動産、預貯金などの資産は相続人が引き継ぐことが民法で定められています。ただし、故人に借金がある場合、マイナスの資産も同時に引き継がなければなりません。

相続放棄をすれば、故人の借金を背負う必要がなくなります。債権者とのやり取りや各種金融機関での手続きなど、事務処理をする必要性がなくなるのも大きなメリットです。

相続放棄の手続きをおこないたい場合は、相続人として認識した日から3ヵ月以内に、管轄の家庭裁判所に必要書類を添えて申請書を提出してください。

ただし、一度相続放棄の手続きをすると、法律上は撤回できません。後日、価値のある遺産や資産が発見されたとしても、相続はできなくなります。相続放棄は将来に与える影響も含めたうえで検討し、慎重に判断しましょう。

相続放棄する際に遺品整理をしてはいけない理由

相続放棄する際に遺品整理をしてはいけない理由

相続放棄をした人は、故人が生前に使用していた電化製品や家具、車両などの遺産を処分したり遺品整理をおこなったりしてはいけません。

遺品の処分や整理をおこなうと、相続を承認したものとみなされてしまい、相続放棄が無効になってしまいます。ただし、資産価値がないと判断される物については相続放棄した人であっても処分しても問題ありません。

資産価値のある物とない物の判断は難しいです。そのため、遺品の中で資産価値がないと思われる物を処分したい場合は、事前に弁護士に相談して意見を求めることがおすすめです。

また、形見分けをおこなう際にも同様の注意が必要で、形見分けする遺品に資産価値があるかどうかで相続放棄に影響を与える可能性があります。

思い出の写真や手紙、日記などの個人的な品は資産価値がない物として形見分けしても問題ありません。ただし美術品や絵画、高級時計などの資産価値が認められる品は、形見分けを控えたほうがよいでしょう。

相続放棄する人が遺品整理以外でしてはいけない6つのこと

相続放棄する人が遺品整理以外でしてはいけない6つのこと

相続放棄をする場合、以下の行為は絶対に避けましょう。

  1. 銀行口座からの引き出し・解約・名義変更
  2. 不動産の売却
  3. 賃貸の解約
  4. 故人の財産からの支払い
  5. 入院費の支払い
  6. 電話回線の解約

これらの行為は、相続放棄が無効になる可能性があります。

銀行口座からの引き出し・解約・名義変更

故人名義の銀行口座からの引き出しや名義変更などの操作をおこなうことは、法律上、相続財産の処分行為とみなされます。このような行為を一度でもおこなってしまうと、以後、相続放棄の手続きができなくなると考えてください。

相続に関する最終的な判断を下すまでは、故人名義の銀行口座に関してはいかなる操作もおこなわないことが、安全な選択といえるでしょう。

万が一、口座からお金を引き出してしまった場合は、速やかに全額を元の口座に返金してください。相続放棄の選択肢を維持できる可能性があります。

銀行口座が凍結されており入金ができない場合は、引き出した金額を別の口座で厳密に管理し、決して使用せずに保管しておきましょう。将来的な相続手続きの際に適切な対応が可能となります。

不動産の売却

空き家となっている実家の建物を解体したり、不動産を売却したりすると、相続放棄ができません。

不動産は故人の遺産に該当し、売却は処分行為とみなされます。そのため、売却してしまうと相続人としての権利を用いたとみなされ、相続放棄が認められなくなってしまいます。

将来的に相続放棄を検討している場合は、実家の解体工事や不動産の売却などの重要な決定は、慎重に控えてください。

ただし、建物の価値を維持するために必要な修繕や補修作業は、法律上の「保存行為」として認められています。これらの作業をしても、相続放棄の妨げにはなりません。

賃貸の解約

故人が賃貸物件に居住していた場合、賃貸借契約の解約手続きをおこなうことは「賃借権」という財産権を処分する行為として、扱われる可能性があります。

賃借権とは、賃貸借契約により賃借人が建物を一定期間利用する権利です。契約により、賃借人は一定期間にわたって建物を使用・収益する権利が生まれ、財産的価値を持つものとされています。

相続財産である賃借権を不用意に処分してしまうことは、法的な問題を引き起こす可能性が高いです。早急に解約したい場合は、専門家に相談して慎重に対応してください。

故人の財産からの支払い

残っている支払いや葬儀費用などを故人の財産から支払う行為は、法律上の処分行為とみなされる可能性が高いです。相続人間でトラブルに発展する原因となるため、できるだけ避けるようにしましょう。

やむを得ず支払いをおこなわなければならない場合は、遺産からの支出は避け、一時的に自分の資産から立て替えて支払うことが望ましいです。

支払い期限が過ぎている借金や未払い金の返済に関しては、遺産の価値を保全する「保存行為」として認められる場合もあります。ただし、相続手続きが完了するまでは支払いを控えることが安全です。

入院費の支払い

故人が亡くなった後に医療機関から入院費の請求書が送られてきた場合でも、早急な支払いは避けることが重要です。入院費を支払ってしまうと、遺産相続を承認したとみなされ、相続放棄の手続きができなくなります。

例外として、入院の際に故人の保証人として署名している場合は、たとえ相続放棄の手続きをおこなったとしても支払いをしなければなりません。保証人としての責任と支払い義務については、民法761条において明確に規定されています。

参照:法令検索

もし支払いが必要となった場合は、相続財産ではなく、相続人自身の個人資産から支払うことが望ましいです。

電話回線の解約

故人の固定電話や携帯電話の契約は慎重に対応する必要があり、勝手に解約することは避けるべきです。特に相続手続きの途中での解約は、後に問題となる可能性があります。

解約しないままだと毎月の基本料金が発生し続け、無駄な支出に思えるかもしれません。しかし、これらの契約は故人の財産の一部であり、相続放棄に関連する重要な問題となるため、早急な判断は避けるべきです。

解約する適切なタイミングは、相続に関するすべての法的手続きが完了し、相続人間で合意が取れてからおこなうことです。あらかじめ相続人間での合意が取れているので、トラブルを未然に防げるでしょう。

相続放棄をしたのに遺産整理がバレたらどうなる?

相続放棄をしたのに遺産整理がバレたらどうなる?

相続放棄をしたにも関わらず遺品整理をおこなったことが後に発覚した場合、他の相続人から民事訴訟を提起される可能性があります。

民事訴訟が提起されると、税務局による税務調査が入る可能性が高まります。税務調査の結果、申告した納税額が不適切だと判断された場合は、延滞税や加算税などの追加的な税負担が発生しかねません。

一時的に遺産を取得すると、プラスの経済的利益が得られます。しかしこのような行為が発覚した場合、訴訟費用や追徴課税、さらには損害賠償金の支払いなど、予想以上の経済的損失を被る可能性が高いです。隠れて遺産整理をおこなうことは決してしないでください。

相続放棄をした後でも、なんらかの理由で遺産整理に関わる必要性を感じる場合には、必ず弁護士や税理士などの法律・税務の専門家に事前に相談してください。適切な方法や手続きについて、アドバイスを受けられる可能性があります。

相続放棄をしても遺品整理が必要な3つのケース

相続放棄をしても遺品整理が必要な3つのケース

相続放棄をしたからといって、遺品整理に関わらなければならないケースもあります。具体的なケースは、以下の3つです。

  1. 財産の管理義務がある場合
  2. 孤独死の場合
  3. 賃貸物件で相続人が連帯保証人の場合

ひとつずつ詳しく説明します。

財産の管理義務がある場合

相続放棄をした場合でも、次の相続人が正式に決定するまでの期間は相続財産の管理責任があります。相続財産全体の価値が低下しないように、適切に保全しなければなりません。物品であれば整理や保管、不動産であれば家屋の清掃や維持管理、修繕などの行為が挙げられます。

管理義務を怠った場合、財産価値の低下を招き、次の相続人との間で法的トラブルに発展する可能性があります。したがって、次の相続人が確定するまでの間は適切に遺産の整理と管理をおこない、財産の状態を良好に保つことを心がけてください。

孤独死の場合

故人が孤独死した場合、遺品の整理と片付けが必要不可欠です。孤独死して発見が遅れると遺体の腐敗が進行し、室内に強い異臭が充満したり、ハエやゴキブリなどの害虫が大量発生したりする可能性があります。

適切な清掃作業をおこなわないと近所トラブルの原因となるため、専門業者による迅速な特殊清掃や遺品の整理を実施する必要があります。清掃作業をすれば、建物の価値低下や周辺環境への悪影響を防げるようになります。

賃貸物件で相続人が連帯保証人の場合

故人が賃貸物件に住んでいて相続人が連帯保証人となっている場合も、遺品整理を実施しなければなりません。

故人が亡くなった後の賃貸物件に関する一切の法的責任や契約上の義務は、相続人に移行します。そのため、物件を適切に明け渡すために遺品整理は、連帯保証人としての立場にある相続人が責任を持っておこなう必要があります。

物件を明け渡すまでに、遺品整理にかかる費用や物件の修繕費用などが発生することが一般的です。費用については事前に見積もりを取るなどして、具体的な金額を把握しておきましょう。

相続放棄をした人が遺品整理をする際の注意点

相続放棄をした人が遺品整理をする際の注意点

遺品整理では、さまざまなトラブルが発生する可能性があります。以下のポイントに気を付けると、トラブルを未然に防げます。

  1. 相続放棄は取り消せない
  2. 一部の支払いは遺品からでも認められる場合がある

相続放棄をした人が遺品整理をおこなう場合は、法律を理解しておくとよいでしょう。

相続放棄は取り消せない

相続放棄は家庭裁判所で受理されると、いかなる理由があっても取り消しができません。そのため、慎重に検討する必要があります。

放棄した後に、予期せぬ価値ある財産が見つかった場合でも、一切相続できません。このリスクを避けるため、事前に相続財産の内容を可能な限り詳しく調査・確認しておくことが重要です。

一部の支払いは遺品からでも認められる場合がある

相続放棄をした場合でも、必要不可欠な費用については、相続財産からの支払いが法律上は認められています。具体的には、以下の費用が該当します。

  • 葬儀費用(通夜、告別式、火葬などの一連の費用を含む)
  • 墓石
  • 仏具

ただし、これらの費用についても許容範囲を超えた高額な支出の場合は相続財産の不当な処分とみなされる可能性が高いため、慎重に判断しなければなりません。特に、地域の慣習や一般的な相場を考慮することが重要です。

遺品整理と相続放棄についてまとめ

遺品整理と相続放棄についてまとめ

相続放棄後の遺品整理は、法的な知識を得ながら進める必要があります。他の相続人との良好なコミュニケーションを維持し、必要に応じて専門家のアドバイスを受けると、スムーズな遺品整理が可能です。

相続放棄をしたからといって、すべての責任から解放されるわけではありません。状況に応じて適切な対応を取ることが、後々のトラブル防止につながります。

相続放棄をしたにも関わらず遺品整理をすることになり、どこから手を付ければよいかわからない方は、山本清掃へご相談ください。山本清掃は、環境省が推奨する「優良認定事業者」の認定を受けています。メール電話LINEにて、お気軽にお問い合わせください。

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