「空き家を片付けようと考えているけど、どこから手を付ければいいかわからない」といった悩みを持っている空き家所有者は、多いのではないでしょうか。
空き家の片付けは非常に大変な作業なため、何も手をつけずにそのままにしてしまっている人もいるかもしれません。しかし、そのまま放置してしまうと火災を引き起こしたり犯罪に使われたりなど、さまざまなトラブルに巻き込まれる恐れがあります。
本記事では、空き家の片付けを後回しにするリスクからスムーズに作業を進めるための準備と手順を解説しています。業者へ依頼するかどうかの判断基準や費用相場なども解説しているため、空き家の片付けを検討している人はぜひ最後までご覧ください。
目次
空き家の片づけを後回しにするリスク3つ
空き家の片付けを後回しにするリスクは、以下の3つです。
- 維持費用がかかる
- 火災の標的になりやすい
- 犯罪の温床となる
空き家の片付けに手を付けられていない人は、ぜひ目を通してみてください。
維持費用がかかる
空き家であっても固定資産税や都市計画税などの税金がかかるため、長期間放置するほど維持費の負担が大きくなります。また、空き家は老朽化が急速に進むため、大規模な修理が必要になることもあります。
適切に管理されていない空き家に対しては、行政から指導や勧告を受け、最悪の場合は罰金が科せられることもあるくらいです。放置しているだけで、あらゆるコストがかさむ可能性があることは把握しておきましょう。
火災の標的になりやすい
放火などの標的になりやすいことも、空き家を早急に対処すべき理由のひとつです。
令和6年5月23日に消防庁が発表したデータによると、火災の原因として放火は大きな割合を占めており、約10%程度が放火によるものとされています。
【参考】令和5年(1月~12 月)における火災の概要(概数)について|消防庁
さらに、空き家では電気配線の劣化や漏電といった自然発生的な原因で、火災を引き起こすこともあります。
空き家では火災への対応も遅くなるため、周囲へ被害が拡大してしまうケースもあるくらいです。
火災が起きてしまったとしても、所有者が責任を問われることは基本的にありません。しかし、火災のリスクがあるにも関わらず放置したとみなされた場合は、損害賠償責任を負う可能性があります。
片付けが難しい人であっても、火災リスクの有無については早急に確認したほうがよいでしょう。
犯罪の温床となる
空き家は不法侵入がおこなわれやすく、占拠したり無断で利用したりして犯罪の温床となる傾向があります。また、不法投棄の対象にもなりやすく、ごみが捨てられることで空き家が荒らされる危険性も考えられます。
地域の治安を悪化させ、犯罪の拠点としても利用されることから、平成26年11月には「空家等対策特別措置法」が制定されています。空き家状態を解消するためにあらゆる施策を打ち出しているため、まずは自治体へ相談してみるとよいでしょう。
空き家の片づけに必要な2つの準備
空き家の片付けは非常に大がかりな作業であるため、入念に準備しておきましょう。必要な準備は、以下の2つです。
- 片付けの計画を立てる
- 必要な道具を揃える
これから空き家の片付けに取り組もうと考えている人は、ぜひ確認してみてください。
片付けの計画を立てる
空き家の片付けを効率よく進めるためには、事前にしっかりとした計画を立てることが大切です。
まず片付ける範囲を明確にして、部屋ごとの優先順位を決めます。また、処分する物と残す物を仕分けする方法を考えておくこともおすすめです。
作業スケジュールも具体的に組み、全体の作業期間を見積もります。片付けにかかる人手を確認し、家族や友人に手を貸してもらうか、足りない場合は専門業者に依頼するかを検討します。
必要な道具を揃える
空き家の片付けに必要な道具を準備する際は、基本的な片付け道具から揃えることが大切です。片付けに必要な道具は、以下のとおりです。
- ほうき
- 雑巾
- 軍手
- ごみ袋
- 段ボール箱
- 虫よけスプレー
- 殺虫剤など
また、不用品の仕分け作業を効率よく進めるために、マーカーやラベルも役立ちます。さらに、空き家の期間が長いほど虫が発生している可能性があるため、虫よけスプレーや殺虫剤を用意しておくと駆除も同時に進められます。
空き家片づけの4ステップ
空き家の片付けの手順は、以下の4ステップです。
- 害虫への対策
- 仕分け作業
- ごみの処分
- 空き家の掃除
空き家の片付けは非常に大変な作業です。作業を効率よく進めるために、ぜひ確認してみてください。
害虫への対策
空き家の片付けを始める前に、害虫が住み着いていないか確認しておきましょう。空き家は人の出入りが少ないため、害虫やネズミが発生していることは珍しくありません。
とくに、長期間放置されている家ほどゴキブリやネズミが繁殖しており、建物の劣化が進む原因にもなります。実際に空き家にネズミが住み着いてしまい、配線がかじられたことによる漏電で火災が起きた事例もあります。
自身で対処しきれない場合は害虫駆除業者に依頼して、駆除剤の散布をおこなうのも良いでしょう。
仕分け作業
空き家の片付けにおいては、物の仕分けが重要です。
家に残された物を「使う物」と「捨てる物」に分類します。再利用できる物や貴重品、思い出の品などは安全な場所に保管しましょう。
一方、ごみや不用品などは効率的に片付けを進めるためにも、早めに処分することが望ましいです。
また、捨てる物の中でもまだ使える場合は、リサイクルショップに持ち込むのもおすすめです。製造年数が比較的新しめの物であれば、買取りしてもらえる可能性があります。
ごみの処分
仕分けが完了したら、ごみを処分しましょう。処分する際には、地域のごみ捨てのルールにしたがうことが大切です。リサイクルごみや大型ごみなど、それぞれの分別方法や収集日を確認してください。
とくに大型の家具や電化製品などは、自治体の指定場所への持ち込みや専門の業者に依頼する必要がある場合があります。
空き家の掃除
ごみの処分が終わったら、空き家全体の掃除をおこないます。とくに長期間使用されていなかった空き家は、ほこりやカビがこびりついているくらいに溜まっているでしょう。
掃除の際は窓やドアを開けて換気をおこない、風通しを良くして外気を取り込むことが大切です。床や壁はもちろん、台所やトイレなどの水回りもしっかり清掃し、湿気が溜まりやすい場所は重点的にきれいにしましょう。
またカビや汚れがひどい場合は、ハウスクリーニング業者に依頼して清掃してもらうことを検討するのもおすすめです。
空き家をスムーズに片づける際のコツ2つ
空き家の片付けは大がかりになるため、状態によっては丸一日かけても終わらない場合もあります。スムーズに片付けるために、以下の2点を押さえておきましょう。
- 捨てること前提で進める
- 1部屋ずつ片付ける
ひとつずつ解説します。
捨てること前提で進める
空き家の片付けをスムーズに進めるために、使わない物は基本的に捨てましょう。片付けの際は思い出や感情が絡んで捨てにくい物もあるかもしれませんが、基本的には「必要な物だけを残す」という基準で判断します。
使っていない物やこれからも使う予定がない物を整理することで、家の中の物が減り、作業が格段に進みやすくなります。
1部屋ずつ片付ける
片付けの際は1部屋ずつ、計画的に進めましょう。
空き家を片付ける際のよくある失敗が、すべての間取りを満遍なく取りかかることです。一気にすべての部屋を片付けようとすると、どこから手をつけて良いのか分からず混乱してしまいがちです。
まずは各部屋の状態を確認し、どの部屋から始めるのか優先順位をつけましょう。1部屋ずつ片付けることで、その部屋の進行具合が目に見えて分かるため、モチベーションも維持しやすくなります。
また、部屋ごとに区切って進めることで作業を途中で中断しても再開しやすく、計画的に進められるでしょう。
空き家の片づけを業者に依頼するかの判断基準
空き家の片付けを業者に依頼するかどうか、迷う人も多いでしょう。業者に依頼すれば短時間で終わらせられる一方で、費用がかかります。家の状態によっては数十万円とかかることもあるため、慎重になるのも無理はありません。
業者に依頼するかどうかの判断基準を、以下にピックアップしてみました。
- 部屋数が多いか
- 物が溢れかえるくらいに多いか
- 水道が使えるか
- 害虫が発生しているか
目安として、3部屋以上の間取りの場合は、自分で対応するとなると労力と手間がかかってきます。
また、水道が使えることで掃除の効率が格段に上がります。逆に、使えない場合は非常に困難になるため、業者に依頼したほうが良いでしょう。
害虫についても、部屋中に住み着いていると心理的な負担が大きく、自分では手の打ちようがないかもしれません。業者であれば害虫駆除も難なく対応してくれるため、最小限の負担で済ませるためにも依頼したほうがよいでしょう。
空き家の片づけを業者に依頼した場合の費用相場
空き家の片付けを業者に依頼した場合の費用相場は、以下の通りです。多くの業者では、間取りに応じて費用を決めています。
間取り | 費用相場 |
---|---|
1LDK | 80,000~200,000円 |
2DK | 100,000~250,000円 |
2LDK | 130,000~300,000円 |
3DK | 150,000~400,000円 |
3LDK | 170,000~500,000円 |
4LDK以上 | 220,000円~ |
なお、同じ間取りでもごみや不用品の量、回収する大型家具の数などにより、費用は大きく変動します。正確に費用を算出するのであれば、業者に現地に来てもらい、見積もりを依頼する必要があります。
空き家の片づけ業者の選び方5選
空き家の片付けを業者に依頼しようと思っても、どこを選べば良いのか迷う人も多いでしょう。片付け業者を選ぶポイントは、以下の5つです。
- 一般廃棄物収集運搬業許可を保有している
- 料金体系が明確である
- 口コミ・評判がいい
- 不用品の買取に対応している
- ハウスクリーニングができる
空き家の片付けを依頼する際の業者選びは、非常に重要です。悪徳業者とのトラブルに巻き込まれないために、ひとつずつ確認していきましょう。
一般廃棄物収集運搬業許可を保有している
空き家の片付けを依頼する際に最も重要なのは、業者が「一般廃棄物収集運搬業許可」を保有しているかどうかです。
自治体から許可を得ていない業者が不用品を回収することは、法律で禁止されています。近年では、違法業者のぼったくりや不法投棄が問題になっており、環境省も注意喚起をしているくらいです。
不法投棄がおこなわれた場合、依頼者にも責任が問われる可能性があるため、許可業者の中から選ぶようにしましょう。実際に住宅街を回っている業者に引き取りを依頼してしまい、人気のない場所に不法投棄された事例が多くあります。
市区町村のホームページなどで許可を持つ業者のリストを確認できるので、依頼前にしっかりと調べることが大切です。自治体から正式に認定を受けている業者から選ぶことで、安心して片付けを依頼できます。
万が一、依頼した後に悪徳業者と判明して、トラブルに巻き込まれてしまった場合は、居住地管轄の消費生活センターに相談してください。電話番号は、市区町村のホームページから確認できます。
料金体系が明確である
依頼前に業者の料金体系が明確であることも、確認しておきましょう。料金の内訳が詳しく書かれており、追加料金が明確な業者を選ぶことで、後から予想外の請求が発生するトラブルを避けられます。
どの作業にどれだけの費用がかかるのか、明確に示されている業者を選ぶようにしましょう。料金が曖昧な業者は、後になって追加料金を請求する可能性があるため、避けることをおすすめします。
口コミ・評判がいい
空き家の片付けを業者に依頼する際は、口コミや評判も確認しましょう。業者の信頼性を確認するうえで、実際に利用した人の口コミや評判は参考になります。
インターネット上の口コミサイトやレビューを通して、業者の対応やサービス内容に対する満足度などを確認できます。ただ、口コミはあくまで一個人の感想でしかないため、すべてを鵜呑みにせず参考程度に見ることが大切です。
不用品の買取に対応している
空き家の片付けを依頼する際は、不用品の買取に対応している業者を選ぶのも一つの手です。
片付ける際に出てくる不用品の中には、価値がある物も含まれている可能性があります。不要になった物を買取りしてもらえば、依頼費用から相殺してコストの削減につながります。
不用品の買取りが可能な業者に依頼する際は「古物商許可」を保有しているかどうかを確認しましょう。
許可を有していない業者が、古物の売買などをおこなうと違法行為に該当します。古物商許可を保有している業者であれば、自社のホームページにて公表しているため、確認してから依頼しましょう。
ハウスクリーニングができる
ハウスクリーニングも同時に依頼できる業者を選ぶことで、スムーズに空き家の片付けを終わらせられます。空き家の片付けでは、不用品の処分だけでなく、家全体の掃除も必要になることがあります。
片付け後にハウスクリーニングまで対応してくれる業者を選ぶと、一度に片付けから掃除までをまとめて依頼できるため、非常に便利です。
とくに、長期間放置された空き家では汚れやカビが発生していることが多く、専門の清掃業者によるクリーニングが必要になることがあります。
空き家の片づけについてまとめ
空き家を放置すると、維持費用の増加や放火・犯罪のリスクが高まります。
また、片付けを効率よく進めるには計画を立て、あらかじめ必要な道具を準備しておくことが大切です。不要な物は積極的に捨て、1部屋ずつ片付けていきましょう。
部屋数が広く物が多い場合は、業者に依頼することも検討してみてください。依頼費用は家の広さや状況によって変動します。業者選びでは「一般廃棄物収集運搬業許可」を保有しているか、確認することが重要です。
山本清掃は京都市を中心にさまざまな自治体の許可を保有しています。創業75年の老舗企業であり、実績も豊富な片付け業者です。現地見積もりも対応していますが、メールや電話、LINEでの簡単見積もりも可能なため、お気軽にご相談ください。