「仏壇の処分方法はどのようにすればいいのだろう?」という悩みや疑問を抱えている人は多いでしょう。
仏壇の処分はお寺や仏具店へ依頼したり、自分で解体して自治体のごみ回収に出したりする方法などがあります。ただし、どの方法を選択する場合でも、事前に供養の儀式をおこなってから処分することがおすすめです。
本記事では、遺品整理の際に仏壇を適切に処分する方法やかかる費用の目安、処分する際に注意点について詳しく紹介していきます。ぜひ本記事で紹介している内容を参考にしていただき、家族の状況や予算の範囲内で納得のいく処分方法を見つけてみてください。
目次
遺品整理で仏壇を処分する方法5選
仏壇の処分で迷ったときは、遺族と相談しながら最適な方法を選ぶことで、後悔せずに済みます。仏壇を処分する方法は、以下の5つです。
- 寺で処分する
- 仏具店で処分する
- 自分で処分する
- フリマサイトで売却する
- 専門業者に依頼する
それぞれメリットや特徴が異なるため、自分の状況や価値観に応じて適切な処分方法を決める必要があります。
寺で処分する
最初に紹介するのは、お寺に仏壇の処分をお願いする方法です。先祖代々受け継がれてきた墓が存在するお寺にお願いするのが、最もスムーズで安心です。お墓がそのお寺にない場合であっても、同じ宗派に属するお寺に相談すれば対応してもらえることがあります。
寺では「閉眼供養(へいがんくよう)」と呼ばれる、仏壇に宿っていた仏様の魂を抜き取る儀式をおこなってから処分してくれます。費用としてお布施を渡す必要があるものの、金額は寺によって大きく異なります。地域や宗派における相場を調べたうえで、依頼するお寺を選ぶと良いでしょう。
仏具店で処分する
「お寺とのお付き合いがないから相談しにくい……」という人には、仏具店に依頼する方法がおすすめです。多くの仏具店では、古い仏壇の引き取りサービスをおこなっています。
新しい仏壇に買い替える場合は、引き取り料金が割引されたり、時には無料になったりすることもあります。
お寺と同様に閉眼供養も併せてお願いできるので、しっかり供養したい人にもおすすめです。運び出しもスタッフが対応してくれるので、手軽かつ手間がかからずに処分ができるでしょう。
自分で処分する
「とにかく費用を安く抑えたい!」という人には、自分で処分する方法もあります。仏壇は、自治体のルールに従えば粗大ごみとして出せます。
安く抑えられることが特徴で、専門業者に依頼すると数千円以上かかるのに対し、自分で処理すれば数百円程度で済むくらいです。ただし、仏壇の金具や装飾品は燃えるごみと分別する必要があり、自治体によっては回収不可の可能性もあるでしょう。
「せっかく解体したのに回収してもらえなかった!」なんてことにならないように、事前に自治体のルールを確認してから進めましょう。
フリマサイトで売却する
仏壇の状態がいいと思ったら、フリマサイトで売却するのもひとつの手です。特に傷や汚れが少なく美しい彫刻が施されている物や、コンパクトサイズの仏壇は需要があり、思わぬ高値で売れるかもしれません。
ただし、仏壇はフリマサイトではなかなか売れにくい傾向があります。
フリマサイトに出品するのであれば、買い手が見つかるまでの時間や梱包や発送の手間は考慮しておきましょう。出品中に別の処分方法も考えておくと、万が一売れなかったとしてもすぐに処分できます。
専門業者に依頼する
仏壇の処分をどこから手をつければいいかわからない場合は、プロの専門業者に丸ごと任せるのがおすすめです。遺品整理業者や仏壇処分の専門業者に依頼すれば、面倒な解体や運び出しの手間は一切ありません。遺影や位牌、さらには故人の思い出の品まで、まとめて整理・処分をお願いできます。
どの業者に頼めばいいか迷ったときは、複数の業者から見積もりを取り、サービス内容や料金を比較検討すれば決めやすくなります。
遺品整理で仏壇を処分する前には閉眼供養が必要
仏壇を処分する前には、一般的に「閉眼供養(へいがんくよう)」という伝統的な儀式をおこないます。閉眼供養とは、仏壇に宿っている仏様の魂を丁寧に抜き取り、仏壇をただの「木の箱」に戻す大切な宗教儀式です。この儀式は「魂抜き」や「お性根抜き」という別の呼び方でも広く知られています。
閉眼供養は、長年お世話になったご先祖様への感謝の気持ちを表すために必要な儀式と言われています。心穏やかな状態で仏壇を処分するために、閉眼供養をおこなう人は多いです。
ただし、仏壇を購入した際に魂を入れる「開眼供養(かいげんくよう)」をおこなっていない場合や、仏壇に魂が宿るという考え方が存在しない宗派は、閉眼供養をおこなう必要はありません。開眼供養をおこなったか判断がつかない場合には、家族や親族に一度確認してみるとよいでしょう。
遺品整理で仏壇処分にかかる費用相場
仏壇の処分費用は、方法によって金額が大きく変わります。それぞれの処分方法における、費用の相場は以下のとおりです。
処分方法 | 費用相場の目安 |
---|---|
寺で処分 | 10,000円~ |
仏具店で処分 | 20,000円~ |
粗大ごみで処分 | 400円~ |
フリマサイトで売却 | 梱包・送料がかかる |
専門業者に依頼 | 5,000円~ |
仏壇を最も安く処分する方法は、粗大ごみとして出すことです。他の処分方法だと高く感じられるでしょうが、搬出や処分の際にスタッフが対応してくれるためです。「費用をかけてでも最小限の手間で済ませたい」と言う場合は、仏具店や専門業者への依頼を検討してみてください。
仏壇を処分するケース5つ
仏壇を処分しなければならない状況は誰にでも訪れ、処分する理由にはさまざまなケースが考えられます。仏壇を処分する代表的なケースを5つ紹介します。
- 継承者がいない
- 仏壇を置くスペースがない
- 施設入居する
- 仏壇が2つ以上になる
- 遺品整理と一緒に処分する
詳しく見ていきましょう。
継承者がいない
仏壇を処分する理由として多いのが、継承者がいないというケースです。子どもがいない家庭や、娘達が嫁いで仏壇を継承する人がいなくなることは、決して珍しくありません。
また、近年では終活の一環として子どもに負担や迷惑をかけたくないという思いから、自身が元気なうちに仏壇を処分する考えの人も増えてきています。
仏壇を置くスペースがない
仏壇を置くスペースがないために、やむを得ず処分することにした話もよくあります。大きくて立派な仏壇は、現代のマンションやコンパクトな住宅では、どうしても場所を取ってしまいがちです。
今の仏壇を置けない場合は処分するだけでなく、小さなサイズの仏壇に買い替える「買い替え供養」という選択肢もあります。最近ではリビングにも自然に溶け込む、おしゃれでモダンなデザインのミニ仏壇も多いです。
また、仏壇を持たずに写真立てやお花を飾るだけのシンプルな供養スタイルを選ぶ人も増えています。
大切なのは形式ではなく、故人やご先祖様を想う心を持ち続けることです。ご先祖様を敬う気持ちがあれば、仏壇の大きさや形は問題ではありません。
施設入居する
親御さんが介護施設などに入居するタイミングで、仏壇の処分を考えるケースも増えています。多くの介護施設では安全上の理由やスペースの問題から、仏壇の持ち込みが許可されていないのが現状です。
「長年、毎日手を合わせてきた仏壇を手放すのは忍びない…」と感じる人は多いものです。
そのような場合、仏壇は供養して処分し、代わりに小さな位牌や遺影など携帯できる供養品を部屋に置くという人が増えています。
施設での生活でも、故人を偲ぶ気持ちは変わりません。供養スペースを設ければ、心の拠り所として大切な存在を身近に感じられるでしょう。
仏壇が2つ以上になる
結婚によって夫婦それぞれの実家の仏壇を受け継ぎ、家に仏壇がふたつになるケースがあります。このような場合は、両方の仏壇を丁寧に供養して処分し、ひとつにまとめるための新しい仏壇を購入する方法がおすすめです。
そうすれば両家のご先祖様をひとつの場所で、まとめて手厚く供養できます。
仏壇をひとつにまとめることは「併置」と呼ばれ、決してご先祖様に失礼なことではないので、安心してください。ただし、両家の宗派が異なる場合に仏壇をひとつにまとめる際は寺や僧侶に相談し、適切な供養の方法を確認しておきましょう。
遺品整理と一緒に処分する
最近特に増えているのが、故人の遺品整理をおこなうタイミングで、仏壇も一緒に処分するというケースです。特に、近年では都市部を中心に生活スタイルの変化や核家族化が進み、従来の大きな仏壇を自宅で維持することが難しくなっているのが現状です。
そのため「他の遺品と一緒に、仏壇のことも専門家に相談したい!」というニーズは、年々高くなっています。多くの遺品整理業者では、オプションサービスとして仏壇の引き取りや供養にも対応しています。
業者に依頼すれば、遺品整理と仏壇の処分を一度に済ませられるので、時間的にも精神的にも負担を大きく減らせるでしょう。
遺品整理で仏壇処理を業者に依頼する際のポイント3つ
仏壇の処分を業者に依頼すると決めたなら、次は信頼できる優良業者を見つけることが何よりも大切です。業者の選び方を間違えると、仏壇を適切に処分してもらえないばかりか、不当に高額な費用を請求される可能性があります。
業者選びのポイントは、以下の3つです。
- 許可の有無を確認する
- 見積もりを取る
- 実績を確認する
安心して仏壇の処分を任せるために、ひとつずつ押さえておきましょう。
許可の有無を確認する
業者選びで特に重要なのが「一般廃棄物収集運搬業」の許可を持っているかどうかです。一般廃棄物収集運搬業の許可がない業者が家庭の廃棄物を運ぶことは、法律で禁止されています。
無許可の業者に依頼してしまうと法外な高額請求をされたり、仏壇が山奥に不法投棄されたり、といったトラブルに巻き込まれかねません。
業者が許可を持っているかどうか確認するために、まず会社のホームページに許可番号が記載されているかどうか探してみてください。記載されているようであれば、安心してサービスを利用できるでしょう。
見積もりを取る
次に大切なのが、複数の業者から見積もりを取って内容を比較検討することです。優良な業者ほど見積書の内訳が明確で、料金体系がわかりやすく設定されています。
逆に見積もりの内容が曖昧だったり、質問に対して明確な回答をもらえなかったりする業者は要注意です。「追加料金は発生しませんか?」など、少しでも疑問に思ったことは契約前に遠慮なく質問しましょう。
料金に関するトラブルを避けるためにも、納得できるまで丁寧に説明してくれる誠実な業者を選ぶことが重要です。
実績を確認する
業者がどれだけの実績を持っているか、そして利用者の口コミはどうかも必ずチェックしましょう。実績が豊富な業者ほど、さまざまなケースに対応してきた経験値が高く、遺品や仏壇を丁寧に扱ってくれる傾向にあります。
「この業者にお願いして本当に良かった!」という声が多いかどうかは、信頼できる業者選びの大きなヒントです。業者のホームページに掲載されている利用者の声だけでなく、SNSや口コミサイトなども参考にすると、より客観的に判断できるでしょう。
遺品整理で仏壇を処分する際の注意点4つ
仏壇の処分は、ただ捨てれば終わりではありません。後々のトラブルを防ぐためにも、以下の4つの注意点を確認しておきましょう。
- 中身を確認する
- 遺族で話し合う
- 仏具は適切に供養してから分別・処分する
- 閉眼供養の確認をする
ひとつずつ解説します。
中身を確認する
処分の前に、仏壇の引き出しや扉の中を隅々まで確認することを忘れないでください。仏壇の中には仏具だけでなく、思わぬ貴重品が眠っていることがあります。
- 大切な家族の写真
- 家の歴史が分かる家系図
- 宝石や貴金属
- 通帳や印鑑 など
中身を確認せずうっかり捨ててしまい、取り返しのつかないことになるケースも少なくありません。特に、古い仏壇には一見では分からない「隠し引き出し」が設けられていることもあるので、隈なく確認しておきましょう。
遺族で話し合う
仏壇の処分は決してひとりだけで判断せず、家族や親族も交えて話し合いをし、同意を得たたうえで決めましょう。たとえ仏壇を正式に受け継ぐ「祭祀継承者(さいしけいしょうしゃ)」であったとしても、例外ではありません。
法律上の規定では、祭祀継承者の判断によって処分することは可能です。しかし、親族の中には「代々受け継がれてきた先祖代々の仏壇を処分するなんてとんでもない!」という強い思いを持っている人もいるかもしれません。
相談なしに独断で処分を進めた場合、後々になって大きな親族間のトラブルに発展してしまう可能性は十分にあります。大切なのは、なぜ仏壇を処分しなければならないのか、理由や背景をきちんと説明し、遺族が納得できる形を見つけていくことです。
仏具は適切に供養してから分別・処分する
仏壇本体だけでなく、中に入っている位牌や仏具の扱いも重要です。特にご先祖様の魂が宿る位牌は、仏壇と同じように閉眼供養(魂抜き)をおこなってから処分するのが作法です。
その他の仏具類については、適切な供養の儀式を終えた後であれば、自治体が定めているごみ分別のルールにしたがって処分すれば特に問題はありません。ただし「自分自身の手で処分するのは、気が引けてしまう……」と感じる場合には、依頼する専門業者にまとめて引き取ってもらう方法がおすすめです。
また仏具類は比較的サイズが小さく、保管場所をあまり取らずに管理しやすい物も数多くあります。故人を偲ぶ大切な形見として手元に残しておき、継続して供養を続けていく方法もあるため、検討してみてください。
閉眼供養の確認をする
処分方法を決める前に「閉眼供養(へいがんくよう)」をどうするかを必ず確認しておきましょう。閉眼供養をしないまま処分することは、いわば「魂が入ったまま捨ててしまう」ことになるため、心情的に避けたいと考える遺族がいるかもしれません。
もし専門業者に処分依頼を検討している場合は、サービス内容の中に閉眼供養が含まれているか確認してください。
サービス内容に閉眼供養が含まれていない場合には、別途お寺に依頼することをおすすめします。お寺によっては、閉眼供養後に処分まで請け負ってくれる場合があります。
遺品整理で仏壇を継承した場合の相続税
仏壇やお墓といった「祭祀財産(さいしざいさん)」を継承したとしても、相続税は一切かかりません。祭祀財産は特別な財産として位置づけられており、課税の対象となる相続財産とは明確に区別されているためです。
法律上も特別な扱いとなっており、他の遺産をすべて相続放棄したとしても、祭祀財産だけは引き継げる仕組みになっています。そのため、税金関係の金銭的な負担の心配はいりません。
また祭祀財産の承継者は、相続人とは別に指定できます。これにより、家族の中で最もふさわしい人が祭祀を引き継げるため、可能であれば現時点での所有者が存命のうちに決めておくと良いでしょう。
遺品整理の仏壇についてのまとめ
仏壇を処分する際は、自身の状況に応じて適切な方法を取る必要があります。お寺によっては、仏壇の処分だけでなく閉眼供養までしてもらえるので、故人をしっかり供養したいと言う方にもおすすめです。
閉眼供養をおこなうことで、心穏やかに処分することが可能です。供養や処分の手間を省きたい人は、専門業者に依頼するとよいでしょう。依頼するだけで、すべての作業をおこなってもらえます。
ただし、1~2万円のコストがかかるため、少しでも抑えたいのであれば自分で処分する方法があります。自治体のルールに沿って処分する必要があるため、処分前にしっかり確認しておきましょう。
遺品整理で仏壇を処分する際は、遺族と十分に話し合って進めることが大切です。記事を参考に最適な方法を選べば、納得のいく仏壇処分ができるでしょう。
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